iDeCo(イデコ)とDC(確定拠出年金)とは何が違うの?

資産運用

iDeCo(イデコ)とDC(確定拠出年金)とは何が違うの?

 

確定拠出年金(DC(Defined Contribution Plan)、日本版401k)は、公的年金に上乗せして老後資金の積み立てを行う制度である。
「企業型DC」と「個人型DC」の2つのタイプがあり、後者の個人型DCはiDeCo(イデコ)の愛称でも呼ばれている。
今回は、企業型DCとiDeCo(イデコ)を比較し、両者のさまざまな違いを紹介しよう。

加入者数の違い

2019年2月末現在の企業型DCの加入者は約690万人。一方、iDeCo(イデコ)の加入者は約118万人である。

iDeCo(イデコ)の内訳は、自営業者等(第1号加入者)が約15万人、会社員および公務員(第2号加入者)が約100万人、専業主婦等(第3号加入者)は約4万人である。

企業型DCとiDeCo(イデコ)の加入者の比率は85対15と、加入者数では企業型DCの方が圧倒的に多い。

運営主体の違い

企業型DCの運営主体は、企業である。そのため、企業型DCに加入する場合は、勤務先で手続きを行う必要がある。

企業から必要書類を受け取り、総務部や人事部などの担当部署に提出すれば手続きは完了する。

掛金は原則として企業が拠出し、運用商品も企業が選定した金融機関(運営管理機関)が用意しているラインナップの中から選ぶことになる。
制度加入に向けてセミナーや説明会などを開催している企業もあるので、それらを活用して制度への理解を深めるといいだろう。

一方、iDeCo(イデコ)は、個人で老後に向けた資産を形成するための制度だ。制度に加入するかどうかは自分で判断する。
iDeCo(イデコ)の運営主体は国民年金基金連合会だが、実務の窓口は、iDeCo(イデコ)を取り扱う金融機関(運営管理機関)だ。
多数の金融機関の中から、自分で1社(複数金融機関での運用は不可)を選んで加入の申し込みを行うことになる。
金融機関によって手数料や運用商品のラインアップに違いがあるため、iDeCo(イデコ)に加入する際はそれらを比較検討することが重要だ。

運用商品の違い

企業型DCでは、企業が選んだ金融機関(運営管理機関)が選定している運用商品ラインナップの中から、加入者が自ら選択する。必ずしも自分が運用したいタイプの金融商品が含まれているとは限らない。

iDeCo(イデコ)では、自分で選んだ金融機関(運営管理機関)が用意している運用商品ラインアップの中から、投資する商品を自分で選ぶ必要がある。iDeCo(イデコ)の金融機関を選ぶ際は、自分が運用したい金融商品がラインナップの中にあるか確認しておこう。

投資教育の違い

企業型DCの場合、企業が加入者に対して投資教育の義務を負う。投資教育の具体的な内容は、ライフプラン・リタイアメントプラン設計の必要性、DC制度の仕組み、金融商品の特徴、資産運用の基礎知識、リスク許容度を目安にした商品選択などである。

投資教育には、大きく分けて制度導入時や新規加入者(新入社員)に対して実施される「加入時教育」と、加入後も継続的に実施する「継続教育」がある。企業型DC加入者は、企業が実施するセミナーなどを通じて、年金制度や資産運用について学ぶ機会が得られるわけだ。

一方、iDeCo(イデコ)では、自ら年金制度や資産運用について学習する必要がある。金融機関のパンフレットやホームページ、コールセンター、国民年金基金連合会のイデコ公式サイトなど、学習するための素材は豊富にある。また、りそな銀行の「つみたてプラザ」のように対面式の相談窓口を設置している金融機関もあるので、それらを有効に活用したい。

じつは、これまでは金融商品の販売等を行う営業職員がDCの加入者に対して資産運用に関する情報提供を行うことは禁止されていた。2019年7月からは、所定の条件を満たせば運用商品の情報提供を受けられるようになる。今までは、銀行の窓口で説明を受けようとしても「詳しいことはコールセンターで」などと案内されて不便さを感じるケースもあったが、まもなく金融機関の窓口で資産運用に関する相談ができるようになるのだ。

なお、従業員100人以下の中小企業の場合、「中小事業主掛金納付制度(iDeCo+(イデコプラス))」を活用することもできる。これは、個人でiDeCo(イデコ)に加入している従業員の掛金に、企業側が掛金を上乗せして拠出できる制度だ。ただし、この制度はiDeCo(イデコ)がベースとなるので、企業側は投資教育の義務を負わない。つまり、加入者が自分で知識の習得や情報収集をする必要がある。

加入対象者・加入可能年齢の違い

企業型DCに加入するには、勤務先が企業型DCを導入していることが必要となる。また、加入期間は基本的に60歳までだが、企業型DC規約で定めることにより、60歳以上65歳未満の従業員も加入者とすることが可能だ。

企業型DCの加入資格のルールは、

①一定の職種(研究職や営業職、事務職など)
②一定の勤続年数(3年以上など)
③一定の年齢(50歳以上はDCの対象外になるケースも)
④加入を希望する者

の4つを労使で定め、それに該当する人のみを加入者とすることもできる。

一方、iDeCo(イデコ)が利用できる人は、①日本国内に居住する20歳以上60歳未満の自営業者、フリーランス、学生などの第1号加入者、②60歳未満の会社員、公務員の第2号加入者、③20歳以上60歳未満の専業主婦をはじめとした第3号加入者である。もちろん、iDeCo(イデコ)加入するかどうかは個人で決める。現在はiDeCo(イデコ)に加入できるのは60歳までだが、政府はiDeCo(イデコ)の加入可能年齢を65歳まで引き上げることを検討しているようだ。

また、会社が企業型DCを導入しているものの、企業型DCへの加入が選択制になっていて、かつ自身が企業型DCへの加入を希望しない場合は、iDeCo(イデコ)への加入を選ぶことができる。さらに、会社側の企業型DC規約の定めにより、企業型DCとiDeCo(イデコ)に同時加入できるケースもあるようだ。

掛金の拠出の違い

企業型DCでは、企業が掛金を拠出する(事業主掛金)。また、企業型DC規約で定めている場合は、従業員が上乗せして掛金を拠出する「マッチング拠出」が可能だ(加入者掛金)。マッチング拠出の掛金は、「事業主掛金の額を超えないこと」および「事業主掛金との合計額が拠出限度額を超えないこと」が条件となる。なお、マッチング拠出をするかしないかは、加入者自身が任意で決められる。

企業型DCの事業主掛金は、「定額」、「定率」、「定額と定率の組み合わせ」等の方法によって算出された金額となる。一定額のケースもあれば、役職などに連動するように定められているケースもある。また、企業型DCの中でも「選択制」が導入されている場合は、あらかじめ複数の掛金パターン(割合)が用意されていることもある。

一方、iDeCo(イデコ)では、掛金は個人が拠出する。掛金額は、月々5,000円から1,000円単位で拠出限度額の範囲内で、自分で決めることができる(毎月定額掛金の場合)。また、掛金の拠出を1年単位で考え、加入者が年1回以上、任意に決めた月にまとめて拠出(年単位拠出)することも可能だ。掛金額の変更は、年1回に限り可能だ。

掛金の納付方法の違い

企業型DCの場合は、会社が掛金をまとめて納付するのが一般的だ。一方、iDeCo(イデコ)では、加入者の属性などによって掛金の納付方法が変わってくる。

まず、第1号加入者および第3号加入者は、本人名義の預金口座から個人払込(口座振替)で掛金を納付する。会社員や公務員などの第2号加入者は、「事業主払込(給与天引き)」と「個人払込(口座振替)」の2つの方法がある。

拠出限度額の違い

企業型DCの掛金限度額は、勤務先に他の企業年金があるかどうかよって異なる。他の企業年金とは、確定給付企業年金や厚生年金基金などだ。他の企業年金がなければ、年額で66万円(月額5万5,000円)まで、他の企業年金があれば年額33万円(月額2万7,500円)が法令上の限度額となる。

企業型DC規約でiDeCo(イデコ)の同時加入が認められている場合は、他の企業年金がなければ、DCの掛金限度額は年間42万円(月額3万5,000円)まで。他の企業年金があれば、年間18万6,000円(月額1万5,500円)までとなる。

一方、iDeCo(イデコ)の拠出限度額は、加入者の属性によって変わる。毎月一定額の掛金を拠出する場合は、掛金は属性ごとの上限額の範囲内で、5,000円以上1,000円単位で自由に決めることが可能だ。

属性ごとの上限額は以下の通り。会社員の属性は複雑で、どのケースに当てはまるのかわかりづらい。一度担当の部署に聞いてみるといいだろう。

・自営業者等:年額81万6,000円(月額6万8,000円)
・専業主婦等:年額27万6,000円(月額2万3,000円)
・公務員:年間14万4,000円(月額1万2,000円)
・会社員でかつ企業型DC、確定給付企業年金、厚生年金基金に加入していない人:年額27万6,000円(月額2万3,000円)
・会社員で確定給付企業年金または厚生年金基金に加入している人:年間14万4,000円(月額1万2,000円)
・会社員で企業型DCのみに加入している人:年額24万円(月額2万円)
・企業型DC規約でiDeCo(イデコ)の同時加入を認めているケースで、勤務先に他の企業年金がある場合:年間14万4,000円(月額1万2,000円)
・企業型DC規約でiDeCo(イデコ)の同時加入を認めているケースで、勤務先に他の企業年金がない場合:年額24万円(月額2万円)
・勤務先に選択制の企業型DCがあるが、企業型DCへの加入を希望しない場合:年間27万6,000円(月額2万3,000円)

掛金の変更・停止・再開の違い

企業型DCの場合、掛金の額を変更するには、会社が定める企業型DC規約の定めに応じる。また、休職期間、育児休業期間、介護休業期間などの掛金拠出の取り扱いについても、企業型DC規約の定めによって決められている。

一方、iDeCo(イデコ)では、掛金額の変更は12月分(翌年1月納付分)から11月分(当年12月納付分)までの年1回に限り可能である。なお、自営業者から会社員へと属性が変わったため掛金額が変更になる場合などは、変更の回数には含まれない。

iDeCo(イデコ)の場合、掛金の停止は、「資格喪失届」を提出すれば可能で、その場合は「運用指図者」となる。運用指図者とは、掛金の拠出を行わずに資産の運用のみを行う者のことだ。なお、再び加入の申し込みを行って運用指図者から加入者になれば、掛金の拠出を再開することができる。

掛金の税務上の取扱いの違い

企業型DCの場合、掛金(事業主掛金)は全額損金(または必要経費)に算入可能であるほか、当該掛金は従業員の給与とはみなされない。また、前述のマッチング拠出(加入者掛金)については、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となる。

iDeCo(イデコ)の加入者掛金およびiDeCo+(イデコプラス)の中小事業主掛金は、上記と同様の取扱いとなる。

年末調整・確定申告の手続きの違い

企業型DCでは、原則として年末調整や確定申告を行う必要はない。マッチング拠出(加入者掛金)は所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象ではあるものの、加入者本人に特段の手続きは生じない。

一方、iDeCo(イデコ)の掛金は、小規模企業共済等掛金として全額が所得控除の対象となるが、そのための手続きは、加入者の属性によって異なる。

<自営業者等(第1号加入者)・専業主婦等(第3号加入者)の場合>

掛金の所得控除を受けるためには、国民年金基金連合会から毎年10月から11月頃送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して「確定申告」を行う必要がある。なお、第3号加入者については、そもそも収入(所得)が無いことが多いため、その場合は確定申告等は原則不要である。

<会社員・公務員(第2号加入者)の場合>

第2号加入者は、掛金の納付方法によって取り扱いが異なる。個人払込の場合は、国民年金基金連合会から送られてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」を添付して勤務先で「年末調整」を行うことで、所得控除が受けられる。なお、その年の初回の掛金納付が10月以降になる場合、「小規模企業共済等掛金払込証明書」の送付時期が翌年1月になることもあるため、年末調整に間に合わないケースもある。この場合は確定申告が必要だ。

給与天引き(事業主払込)の場合は、会社が給与からiDeCo(イデコ)の掛金額を控除したうえで、給与等の源泉徴収税額を算出してくれるので、加入者本人の手続きは不要だ。この場合、国民年金基金連合会から「小規模企業共済等掛金払込証明書」は発行されない。なお、会社員や公務員で年末調整が必要なのに手続きを怠った場合は、確定申告が必要となる。

口座管理手数料等の違い

企業型DCの場合、口座管理にかかる手数料は会社が負担してくれるのが一般的だ。ただし、掛金の拠出が終わって運用指図者になると、自己負担になる会社が多いようだ(会社が負担してくれる場合もある)。

一方、iDeCo(イデコ)では、まず加入時に国民年金基金連合会に対して2,777円の手数料が発生するほか、掛金の払込み1回につき103円の手数料がかかる。さらに、月額で64円の事務委託先金融機関(資産を管理する信託銀行等)に対する手数料が発生する。

また、加入する金融機関(運営管理機関)に対して運営管理手数料が発生するが、こちらは、無料のところから年間数千円程度が必要なところまであり、金融機関によって大きく異なる。

なお、第1号加入者で国民年金保険料の未納が判明した場合は、その月のiDeCo(イデコ)の加入は無効とされ、払った掛金は加入者に還付される。その際、手数料として還付金のうちから1,461円が差し引かれるので注意しておきたい。

受給開始年齢の違い

企業型DCもiDeCo(イデコ)も、老齢給付金は原則として60歳から受け取ることが可能だ。ただし、60歳から給付を受けるには、どちらも10年以上の「通算加入者等期間」が必要になる。通算加入者等期間が10年に満たない場合は、受給開始可能年齢が最長で65歳まで繰り下げられる。

通算加入者等期間とは、企業型DCおよびiDeCo(イデコ)の「加入者期間」と「運用指図者期間」のうち、60歳未満の期間のことである。DCの加入にあたって他の制度(確定給付企業年金や厚生年金基金等)から資産を移換した場合は、移換する前の制度の加入期間も通算される。

【通算加入者等期間と受取開始可能年齢の関係】

10年以上:60歳
8年以上10年未満:61歳
6年以上8年未満:62歳
4年以上6年未満:63歳
2年以上4年未満:64歳
1月以上2年未満:65歳

現在、企業型DCでは資格喪失年齢を60歳とする会社が多いが、一部の企業では、資格喪失年齢を61歳から65歳に設定している会社もあるようだ。このケースでは、設定された資格喪失年齢までの間に退職すれば、退職した時から給付を受けることが可能である。

金融機関(運営管理機関)の変更手続きの違い

企業型DCでは、会社が決めた金融機関(運営管理機関)のプランに加入しているので、加入者個人の裁量で金融機関を変更することはできない。もっとも、労使間の合意を経て、会社の判断により金融機関を変更することは可能である。また、会社は「加入者本位」を実現するため、少なくとも5年に一度は運営管理機関が実施する業務について評価を行い、必要に応じて委託内容の変更や運営管理機関の変更などを行うことが求められている。

一方、iDeCo(イデコ)では、金融機関(運営管理機関)の変更はいつでも可能だ。変更先の運営管理機関に「運営管理機関変更届」を提出すればOKだ。ただし、運営管理機関を変更する際には以下の点に注意が必要だ。

・今まで保有していた運用商品はいったん現金化される(運用商品によっては解約手数料が発生するケースも)
・変更前および変更後の運営管理機関に対して手数料が発生する場合がある
・資産の移換が完了するまでに1カ月~数カ月が必要(金融機関によって多少の差あり)

以上、企業型DCとiDeCo(イデコ)の主な相違点を紹介してきた。働き方が多様化し雇用が流動化している現代社会において、今後、企業型DCからiDeCo(イデコ)へ、あるいはiDeCo(イデコ)から企業型DCへ資産移換する機会が全くないとは断言できない。自分が当てはまりそうなケースについては、多少複雑ではあっても予習しておきたいところである。なお現在、iDeCo(イデコ)の加入可能年齢の引上げや拠出限度額の引上げなどについて、厚生労働省で検討されているようだ。現時点では、それがいつ実現するかは明らかになっていないが、老後の生活に向けた大切な資金に関わることなので、こうした制度改正の情報を見逃さないようにチェックしておきたい。

 

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